
オビチュアリの3枚目のアルバムは、デスメタルシーンにおける金字塔と言える作品で、そのギターサウンドはまさに圧巻だ。初めて聴いた瞬間、ガツンと心を打たれる、その一瞬が忘れられない。激しく、重く、そしてどこかメランコリック。あのギターリフの数々は、まるで音楽が喉元から爆発する瞬間を切り取ったような迫力を持っている。このアルバムでは、ギターが単なるリズムを刻むための道具にとどまらず、曲全体を引っ張る中心的な存在として、聴く者を引き込んでいく。
ギターリフの破壊力
まず何より、アルバムのギターリフが持つ破壊力に驚かされる。初めて聴いたとき、頭を殴られたような衝撃を受けたのを覚えている。リフの一つ一つが、あたかも重い鉄塊を叩きつけられたかのような音で、これでもかというくらいの圧力で迫ってくる。特にアルバムのオープニングから、そのギターリフは本当に容赦ない。ブンブンと鳴り響く低音に、耳がやられる。ノイジーで荒削りなそのリフは、デスメタルの枠を超えて、まるで音の塊のように圧倒的な存在感を放っている。
でも、このアルバムのすごいところは、その“重さ”だけじゃない。もちろん、音はヘヴィそのもので、ギターリフが暴力的なほどに迫ってくるんだけど、その中にも、しっかりとしたグルーヴが感じられる。重厚感がありながらも、どこかグルーヴィーな部分が隠れているのが、またクセになる。この二律背反が、まさにオビチュアリの魅力だ。
ギターソロの情熱
それだけじゃない、ギターソロもまた絶品だ。デスメタルにおいて、ソロというとどうしても激しいだけのテクニック勝負になりがちだけど、このアルバムのソロは、ただの速弾きじゃなく、どこか情熱的でエモーショナルな部分を感じる。ギターが語りかけてくるような、そんな感覚があるんだよね。速さや技巧に頼るだけじゃなく、ちゃんと曲の中で感情を込めて弾かれているというか。まるでギターが叫びながら、何かを訴えかけているような、そんな情熱を感じる瞬間が多い。
その中でも、意外とクリーンな音色が絡むソロが印象的で、突然現れるその部分がまた、アルバムの荒々しさに対してひとしおの対比となり、胸にズシンと響いてくる。ギターソロでこんなに心に残るものって、意外と少ないんじゃないかと思う。速さだけじゃない、ちゃんと“歌って”いるソロが、まるでアルバム全体を通してのストーリーを語っているかのようだ。
リズムギターの緊張感
そして、リズムギターもまた、その存在感が半端じゃない。リフが前面に出てきて、ただガンガンと激しく鳴っているだけだと思うかもしれないが、実はリズムギターのフレーズがしっかりと曲の構築に貢献している。激しさの中にも、細かなフレージングや音の隙間が感じられて、聴き進めるうちにその繊細さがわかってくる。つまり、単なる“爆音”ではなく、各フレーズが曲全体の中でどのように絡み合っているのかが、じっくりと味わえる部分なんだ。
特に、リズムギターが徐々にテンポを変化させる部分がすごく気持ちいい。最初は一気に重く速いリフで来て、その後で少し落ち着いた、ちょっとしたリズムのズレを加えることで、曲の雰囲気ががらりと変わる瞬間がある。そうしたリズムギターの“仕掛け”によって、アルバム全体が単なる連続した速い曲の集まりではなく、聴き進めるうちに細かな緊張感が増してくる。リズムギターが、まるで全体の流れを支配しているかのような感覚がある。
トーンとダイナミクス
アルバム全体を通して、ギターのトーンがどれも素晴らしい。低音がズンと効いていて、ギターの弦が鳴り響く度に、部屋全体を圧倒するような迫力を持っている。けれど、ただ単に“重い”だけではない。例えば、速いパートではシャープでキレのあるサウンドを聞かせて、遅いパートではドスの効いた低音がその存在感を主張する。その切り替えがまた、聴いている者を飽きさせない。
そして、アルバムを通して感じるのがそのダイナミクス。音が爆発するような瞬間もあれば、どこかひと息つくような落ち着いた部分もあり、その波の中で心が揺れ動く。最初はただの激しい音のオンパレードに思えるかもしれないけれど、じっくり聴いていくと、ギターが本当に曲に合わせて、繊細に感情を変化させているのがわかる。アグレッションの中に潜む静けさや、重さの中にあるグルーヴ感を楽しむことができる。
ギターが作り出す空気感
このアルバムを聴いていると、ただ音が“鳴っている”だけではなく、音の一つ一つが空気を震わせるような感覚を覚える。ギターが作り出す空気感が、まるで手のひらで触れることができるかのような感覚を与えてくれる。サウンドが壁を突き破るような感覚、耳元で直接感じるようなその距離感が、聴いている者を圧倒する。
アルバム全体が持つ緊張感と、それを支えるギターのリズムとメロディがうまく絡み合い、完成度の高い音楽を作り上げている。このアルバムが、ただのデスメタルの一作品にとどまらず、時には美しさすら感じさせる瞬間があるのも、ギターのプレイが持つ多面的な表現力のおかげだ。
さいごに
このアルバムにおけるギターは、ただの音の塊ではない。それぞれのフレーズがどこかで胸に響き、どこかで心を揺さぶる力を持っている。重いリフの中にも隠された美しさがあり、速さと攻撃性の中に感じるエモーショナルな深みがある。このギターサウンドは、聴くたびに新しい発見を与えてくれる。音楽がどれだけ攻撃的であっても、その中にある“心”に触れる瞬間が必ずある。オビチュアリが作り出したこのアルバムのギターサウンドは、今でもデスメタルの金字塔として、何度でも聴き返したくなるような深みを持っている。
